ワイヤージュエリーの製作について
サイバークリスタルではワイヤージュエリーを作っています。 実は店頭に回るより、内部消費する方が多いかもしれません。プレゼントやその他で、、。
ワイヤーについてよく質問されるので、少し書いておきます。
このワイヤージュエリーですが、簡単に作れると思っている方が多いようですが、これはかなり的外れです。一般に正しく認識されていないため、内部使用が増えるという形になっているのかもしれません。
簡単に作ろうとすると、ワイヤーの組み方自体をシンプルに、手間の掛かる特殊な手法を使わないようにすれば、簡単に作れなくはないのですが、これではどなたの作品も同じようになってしまいます。 ワイヤーの組み方には幾通りもあるのですが、複雑になる程、製作時間と手間と注意力が必要になります。 組み方の違いは石の形状とサイズ、品質に依存する場合が多く、石を見て、どういった組み方をするかを決定します。
石のサイズと質を考慮した上で、販売価格までをおよそ推測して、適正な組み方を選びます。
組み方が決まれば、石を取り囲む部分の製作は比較的単調ですが、やや技術力を要求される部分があります。石の良さを最大限引き出し、デザイン的にすっきりさせ高級感を持たせるかなどは、経験的にこうすれば良いと判る部分と、製作者の意図と個性から決定付けられる部分があります。
ワイヤーの場合、重要なのは末端デザインで、当方では末端部分の処理はボディー部分の組み込みが終了後すぐには行わず、イメージが出来るまで数日待つ事にしています。色々迷うことが多い状態になりますので、ベストな案が思い浮かぶまではストップします。 この時に考えるのは、全体デザインと製品としての強度、使い心地で、この部分に製作者の個性が強く出てくるように感じます。
デザインに置いて重要なのは発想の転換で、時として製作者自身が予期しない新しいものが生まれます。 作っている本人が予期しないので天啓とでも言えるかもしれませんが、そのような場合が極く稀に出てきます。
昨年末から、年頭に掛けて数点の作品を作りました。内部消費用ですので、世に出ることはありませんし、写真もありませんが、従来とは違う新しいものを作りました。 ただ、末端のデザインで少し失敗したように自分では思うのですが、これはこれで良しとしておきましょう。 この時のデザイン自体が、従来からの発想とは異なるもので、基本的な作り方とデザインだけ予想した上で、後は都度、ラフな計算をしながら製作する形になりました。(デザイン上、有る程度、幾何学的な計算をする場合があります。)
結果として製作者本人が予想した状態になりましたが、基本的な失敗もありました。必要となったワイヤーの長さが当初の計算では足りず、最終段階でデザインを誤魔化す必要性が出てきてしまいました。 比較的、単純化したデザインで、必要なワイヤー長さを、長めに見積もっていたのですが、強度面から石の保持をしっかりさせた事で、最終的に見積もった長さでは足りなくなりました。こうなると誤魔化す意外には手が無い状態となります。
結果的には結構、面白いものが出来ましたので、柳の下のどじょうを狙ってもう一個作ってみましたが、こちらもやはり最終段でワイヤーの長さが足りません。 原因は製作ミスです。 石の保持の仕方を変える予定で計算したワイヤー長なのですが、それを製作途中で忘れ、普段通りに作ってしまいました。 最終段でまたしても誤魔化すはめに、、。 ところが、これが予想外に良い、面白いデザインになってしまいました。ワイヤー1本、わずか2cmほどの曲げで、製品の雰囲気が、ガラリと変化してしまいました。 個人的には面白いのと、雰囲気も変わっているため気に入っているのですが、、。 難を言えば、石の品質が今一つです。 内部用に良いものを使ってしまい、余ったものを使ったため、ちょっと残念にも思うのですが、ひょっとすると、これで良いのかもしれません。 これでもし、石の品質が良く、ギラギラした派手な雰囲気になると全体が馴染まないかもしれません。 うまくマッチしているようにも思いますし、価格も一般的な価格から跳ね上がってしまいます。
何が良いのか良く判らないのが石の世界で、ジュエリー製作でも意図しないデザインが時として生まれます。 手軽な価格帯で楽しんでもらうには、そこそこの品質の石で十分なように思います。
ところで、一般的な工場製作のジュエリー(彫金によるジュエリー)とワイヤーによるジュエリーを比較すると、ワイヤーの方が個性が強く、一般的には使用し難いものが多いと言えます。個性を出すならワイヤーが良いかもしれませんが、国内での使用状況や日本人の社会性を考えるとワイヤー製作のジュエリーはマッチしない気がします。 あまり奇をてらわないなら、工場製作品や彫金品の方が使用上、無難です。
強度に関しては、ワイヤーはデザイン上彫金ほどの強度が出し難いと言えます。 これには明確な理由があります。 強度を出そうとすれば、工夫により相当な強度を持たせる事ができますが、一般的にはあまり行われておりません。 やり方を知らない方が多いように思います。 と言うか、ワイヤーアクセサリーはおもちゃのといった領域で捕らえている方が多く、強度アップが考慮されていないのが実情のような気がします。 私の場合はジュエリー製品の一端として製品を考慮しているため、強度にも注意を払い、通常のワイヤー品より強度アップを施しています。
あまりワイヤー作品に対して知られていない事実を書いておきます。
デサインはかなり幅広く、彫金にも劣らないものが作れますが、複雑なデザインだとそれなりに時間と技術が必要になります。 極めて複雑なデサインも可能ですが、製作時間と材料費を考慮すると、彫金品の方が安いのではないかと思います。
ワイヤーの特徴として、1本のワイヤー使いから数本、時として8本、10本以上のワイヤーを組み合わせて製作しますが、長さ計算が複雑です。 材料費を気にしないならば、それなりに、長めにワイヤーを切り出せば良いのですが、なるべく無駄を出さないためには技術に合わせた数値計算が必要になります。 複雑な作品では、この計算が難しくなります。
強度の確保には?
ワイヤー作品は一筆書きの線の組み合わせと考える事ができます。 強度をアップするには線と線の交点の取り方、位置、留め方が重要になります。 それと物性も。 製作者の工夫次第です。
3次元構造作品?
3次元の立体作品も可能ですが、デザイン設計が複雑です。 強度の確保は使用するワイヤーの本数にも因りますが、それ以外に、数本使っているワイヤーの中の何本か(恐らく2本、あるいは3本)のワイヤーの張り具合を、他より強くすることで確保できるようになります。 詳細は秘密です。 それ以外にも幾つかの手法があります。
ワイヤーは本当に一筆書きか?
これは基本的には、一筆書きなのですが、実際にはかなり違っています。 詳しくは述べませんが、幾何学を想像して下さい。アイデア次第と言えます。
ワイヤー作品を作っている理由?
彫金品に比べ準備に時間が掛からない、製作時間が短くて済むケースが多いといった理由だけです。 手間は作品によりますが、かなりの手間が掛かるものがあります。
石の形状や種類は何でも良いの?
何でも構いません。0.1カラットの小さなダイヤから、複雑はフリーフォームタイプの石まで留める事ができます。特殊なテクニックで強度も確保できます。
あまり人気の無いワイヤー作品で、おもちゃとして考えている方が多いのが事実です。 手間を惜しまず、技術を駆使すると、面白いものもできますが、実のところ、そこまではしていないというのが実情です。 これは何故かと言えば、手間を掛けるとコストが上がり、高価なものになってしまうためで、国内需要からすると、それはできないという事情があります。 量産できない作品ですので、そのように考えて頂ければよいのですが、一般にワイヤーの事が正しく認識されておらず、高価な作品を作っても仕方がないので、ほどほどにしているというのが現状です。
まだまだ知られていない事も多いのですが、あまり詳細は書かないでおきます。 当方の技術情報ですので、、。